昨年ビオトープが壊れて水が漏れてしまい、悲しいけど解体したビオトープ。もう一回作ろうと話してからようやく今年の1月から企画がスタートしました!
企画の様子をまとめたので見ていただけたら嬉しいです。
*下記に人造石工法についてすこしまとめてあります。
2024.1.23
一般的なビオトープの作り方だと防水シートやトロ船などの容器を使って防水層を作るのですが、自然に還らないもので作ることに疑問を感じたのでこどもたちに提案をしました。それは左官屋さんの伝統の土間を作る技術、三和土(たたき)を発展させた人造石工法でビオトープの水を溜める場所を作ること。壊れても自然に還るもので100年以上持つかもしれないこと、コンクリートとの違いも説明しました。作るにあたって人造石工法を発案した人が土の配合のレシピを残していないのでみんなで実験して一番いい組み合わせを見つけることに。みんなやる気になってくれたので早速実験スタート!
一回目は学者さんおすすめの配合で消石灰3:真砂土7/消石灰2:真砂土4:荒木田土4の2つで実験。
土を合わせて混ぜ混ぜ。「消石灰白い!」「固まるのかな?」土に触れながら夢中になってかき混ぜます。
土がしっかり混ざったら木の枠に移して実験用のタイルを作ります!いっぱい叩いて土を固めます。叩くほどいいので終わりが見えずだんだん泥団子づくりに(笑)脱線しながらも頑張ってくれたのでしっかり仕上がりました。
土の素材に触れ、叩いた部分が少し硬くなるのを感じたりやってみないとわからない部分をしっかり感じ取ってくれた一回目でした!
2024.02.09
出来たタイルで早速実験です。今回は強度と耐水性を確認しました。確認の仕方は木づちで叩いて高い音が出る方が硬いのでそれで強度の確認を。水につけて数日浸して溶けださないかで耐水性を確認しました。
実験前に触ると「硬い!」「本当に固まってる!?」「この泥団子ヤバイ」など実際にビオトープが出来そうな期待が広がります。
耳を澄ませて硬さのチェック!みんなの判断では消石灰3:真砂土7の方が硬い結果に。
耐水性のチェックでは水へ投入。その場で溶けることはなかったのでとりあえずはセーフでした!
2024.02.13
耐水性の確認!触ってみると「溶けてる!」「ここは硬いね」「泥団子は無事だよ!」「荒木田土の方が溶けてるね」などしっかり叩けていた面は溶けておらず叩きの甘い部分は溶けてしまっていました。若干荒木田土の方が溶けてる量が多かったですが両方ともうまくしっかり叩けていれば耐水性のある結果に。叩きの必要性と土の変化を感じる結果でしたね。
2024.02.17
前回の結果を参考にしながらみんなで相談。今回はリビングの土も使って行います!「消石灰多めにする?」「リビングの土でうまくいくかな?」
話し合った結果、消石灰3:リビングの土7/消石灰3:真砂土3:リビングの土4に決定!
100回1セットでみんなで交代して叩きました!ただ今回もだんだんと泥団子づくりに力が入っていきます(笑)でも最後までみんな頑張ってくれました!リビングの土でうまくいくのか期待が高まります!
2024.02.28
今回は4種類のタイルを使って実験しました。ちょうど実験の際焚き火をやっていたので「火に入れたらどうなるの?」「やってみよう!」となったので耐火性も加えて3種類の実験を行いました。
まずは強度から!結果としては
1位 消石灰3:真砂土7
2位 消石灰2:真砂土4:荒木田土4
3位 消石灰3:真砂土3:リビングの土4
4位 消石灰3:リビングの土7
でした。リビングの土が最下位⋯。耐水性の実験に期待です!思いを込めて水へ投入しました。
2024.03.06
耐水性の確認と、耐火性の確認。そしてどの土の配合で行うのかみんなで決めました!
耐水性はなんとみんな無事!強度はないけどリビングの土でも溶けないことが証明されました。
耐火性の結果は
1位 消石灰3:リビングの土7
2位 消石灰3:真砂土3:リビングの土4
× 消石灰3:真砂土7
× 消石灰2:真砂土3:荒木田土4
になりました。リビングの土は焼くと少し赤くなり強度も向上していました!リビングの土が入ってないものはぼろぼろで強度もなし。まさかの結果で「土器できるかも!」「リビングの土は火を入れると硬くなる」と今後の活動が広がる形に!
最後にこれまでの結果を踏まえて、本当にこのやり方でビオトープができるか確認するためミニビオトープを作ることを伝え、どの土の配合で作るのか話し合いました。
「俺は一番硬いやつでいいと思う」「なんとなくだけどリビングの土入ってる方がいい」
など意見が出ましたが、多数決の結果消石灰3:真砂土7に決まりました!
リビングの土を使えないのは残念ですが素敵なミニビオトープができたらうれしいですね!
今回実験を行い、こどもたちは現在ではなかなか行わない伝統工法を経験し、それぞれの土の性質、組み合わせや配合で変わる土を見て、聞いて、触れて五感を使って行いました。自然のものだけでいろんなことを感じ取れたと思います。少しでも先人の知恵の素晴らしさ、自然の素晴らしさに気づくきっかけになればいいですね。次回はミニビオトープ作り!100年続くものを作るぞ~!
*人造石工法は消石灰と真砂土を使い、日本の土間を作る技術三和土(たたき)の工法で強度と耐水性を高めたものです。別名は長七たたき。実際に防波堤などに使われ100年近く残っていて、カンボジアの世界遺産アンコール遺跡のバイヨン寺院の修復にも使用されています。
特徴は100年経っても硬化を少しづつ続けていること。崩れたとしても自然界に戻っていくこと。